【幸せを紡ぐ物語】

  1. 物語【月夜のできごと】第1話

    ある三日月がキレイな晩のことです。この家に住んでいる、パパとママとお嬢ちゃんと坊やはすやすやと夢の中。窓辺に置かれたママのお気に入りの瓶やグラスが、月明かりに照らされて薄い影を作っています。その瓶の間から、勝ち気そうな顔をした小さな小さな女の子がひょっこりと顔を出しました。

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  2. 物語【黄色いバラ】第3話

    「あの時、あなたは私がなぜ泣いているのか、聞きませんでしたね」店主はだまって女性の言葉を待ちました。「私、あの日恋を失ったの」さらりとした笑顔で女性が言いました。「どうりで。

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  3. 物語【祝福】第4話

    送ることもできないのに書き続けた手紙の相手の名前は、ずいぶんと前に僕の母さんであると教えてもらった名前だ。父さんは母さんを恋しがっていた。会いたいと何度も書いていた。もしも自分だけなら船を造り、命の危険を冒してでも君のもとへ旅立っただろう。

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  4. 物語【stand alone】最終話

    ふと目が覚めて、私は気がつきました。きっともう、星は現れているのでしょう。足下の砂にばかり気を取られ、心の中で星を探し求め続けていたけれど、見上げれば空にはいつも満点の星空が輝いていたのです。この空に輝く星のすべてが、私の目指す星。

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  5. 物語【黄色いバラ】第2話

    「去年の今頃、雨の日に…」女性が言いかけたとき、店主の記憶にあの雨の日がよみがえりました。「あなたはあの時の…」「はい」「見違えました。お元気そうで」「はい」と答えると、女性は照れたように笑いました。

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  6. 物語【祝福】第3話

    父さんがいなくなってから長い時が流れ、僕は言葉と文字を忘れないようにする、と言う約束を守っていたけれど、言葉を知っていても文字を知っていても、誰にも何も伝えたいことがなかったし、そもそもずっと1人だったから伝える相手もいない。はて、ではなぜ人として生まれたのだろうか?と、時折思う。

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  7. 物語【stand alone】第1話

    私は旅をしていました。長い長い暗闇の中を一人歩く旅です。光り輝く星が見えるでしょうか。私にはまだ見えません。私はどこへ向かえばいいのでしょうか。西か東か、今はそれさえもわかりません。誰かが空を指し示し「ほら、あれがあなたの目指す星だよ」と、教えてくれたらいいのに。

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  8. 物語【黄色いバラ】第1話

    このカフェの名前は「黄色いバラ」。とびきりオシャレ、というわけでもなく、町の喫茶店、と言うほうがあっている、でもどこか雰囲気のある佇まい、そんなお店です。バラの季節には毎年黄色いバラがテーブルを彩り、いつもよりちょっぴりお店が華やぎます。あるバラの季節のできごとです。

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  9. 物語【祝福】第2話

    父さんは僕に手紙を残していた。その手紙には僕を勇気づける言葉と、僕に守って欲しいと言う約束が3つ書いてあった。1つ目は「言葉と文字を忘れないこと」2つ目は「助けを求める努力を続けること」3つ目は「父さんを捜さないこと」僕は1つだけ約束を守らなかった。

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  10. 物語【日傘】最終話

    閉じ切ったままの窓に顔を寄せ、吹き荒れる雨風の中を悠然と歩いていくあの人の姿を見つめた。一瞬強い風が吹き、竹林がざわっと揺れ、笹の葉が舞い散った。あの人はよろめき立ち止まったけれど、額に張り付いた笹の葉をさっと払いのけると、何事もなかったかのように歩き去って行った。

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