【幸せを紡ぐ物語】

物語【祝福】第2話

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父さんは僕に手紙を残していた。
その手紙には僕を勇気づける言葉と、僕に守って欲しいと言う約束が3つ書いてあった。
1つ目は「言葉と文字を忘れないこと」
2つ目は「助けを求める努力を続けること」
3つ目は「父さんを捜さないこと」

僕は1つだけ約束を守らなかった。
2つ目の「助けを求める努力を続けること」だ。
物心ついた時にはこの島にいて、父さん以外の人間を知らずに育った僕は、父さんがたき火の前で泣いていた気持ちはよくわからない。
誰か他の人間に会うために、助けを求める努力を続ける気持ちにはなれなかった。

この島に流れ着いたときから、父さんは朝日が昇る回数を記録していた。
1回太陽が昇って沈むと1日で、それが365回で1年だと言うことを教えてもらった。
父さんがいなくなった後は僕が記録を続けているけれど、その記録によると、僕は大体20年くらいは生きていることになる。

…第3話へ続く
〈絵と文/松本圭〉

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