は
-
物語【羽ばたく】第5話
「他の鳥たちが当然のように羽ばたく姿を見て、さぞ辛い思いをしてきたでしょう」天使は優しく白い鳥をねぎらいました。「はい、天使さま。私は大空を羽ばたくことに憧れて生きてきました。他の鳥たちを見ては、なぜ自分だけが?といつも悲しみに暮れていました」「鳥よ。
続きを読む -
物語【happy moon】第1話
都会の夜空、今夜は特別魅力的な三日月が輝いています。その三日月に仲良く腰をかける小さな影が二つ…。夜の街を見下ろしながら、羽が生えた男の子と女の子が楽しげにおしゃべりをしています。2人はふと、街の真ん中にある小さな公園に目を留めました。「ねえ、見て。あの公園にいる恋人たち。
続きを読む -
物語【羽ばたく】第4話
白い鳥は、天使のやり取りを静かに聞いていました。「白い鳥よ。鳥が飛ぶのは生きるためです。魚たちが泳ぐのも花たちが咲き乱れるのも、生きるためです。そして白い鳥よ、あなたは今生きています。ちゃんと自分の役目をまっとうしているではありませんか。
続きを読む -
物語【ハナキリン】最終話
次の朝、目覚めたお姫様がお城の窓から外を見ると、そこにはもう立ち並ぶハナキリンはありませんでした。いつも見慣れたハナキリンの変わりに、お城の門の前にはまっすぐな道が伸びているのが見えました。
続きを読む -
物語【羽ばたく】第3話
天使は白い鳥を見つめ「耳を澄ませていなさい」というと、岸壁の上の空を飛ぶ鳥たちに話しかけました。「鳥たちよ、あなた方はなぜ空を飛んでいるのです?」「天使さま、それは生きるためですよ。生きるためにはエサを探さなくてはなりません」天使は次に、海を泳ぐ魚に話しかけました。
続きを読む -
物語【ハナキリン】第3話
王様の愛情がこもった手紙を、お姫様は涙を流しながら読みました。そして、お姫様は初めて知った自分の境遇と、この城を出て暮らすことへの不安で、胸が震えました。今までたった一人の召使いとしか、自分以外の人間に会ったこともないと言うのに、どうしてこの城を出られましょう。召使いが言いました。
続きを読む -
物語【ハナキリン】第2話
どうして自分が一人でいるのか、お姫様は考えたことがありません。遠い遠い記憶で、優しい父と母がいたような気がするけれど、お姫様にとっては物心ついたときから、召使いが自分の唯一の家族でした。お姫様が18歳になったとき、召使いが一通の手紙を持ってきました。
続きを読む -
物語【ハナキリン】第1話
昔々あるところに、大きな森がありました。大きな森のその奥に、刺に覆われたハナキリンで守られた、小さなお城がありました。お城には一人のお姫様が、一人の年老いた召使いとともに暮らしていました。お姫様は朝目覚めると、お城の窓を開け外の空気を吸いました。
続きを読む -
物語【羽ばたく】第1話
ある離れ小島に、1羽の鳥が住んでいました。その鳥は、真っ白な大きな羽根を持っていましたが、空を飛ぶことができません。同じ頃に卵からかえった兄弟達が飛ぶことを覚えた頃、白い鳥も毎日毎日一生懸命練習しましたけれど、他の鳥たちのように自由に空を飛べるようにはなりませんでした。
続きを読む