幸せを紡ぐ物語

  1. 物語【日傘】最終話

    閉じ切ったままの窓に顔を寄せ、吹き荒れる雨風の中を悠然と歩いていくあの人の姿を見つめた。一瞬強い風が吹き、竹林がざわっと揺れ、笹の葉が舞い散った。あの人はよろめき立ち止まったけれど、額に張り付いた笹の葉をさっと払いのけると、何事もなかったかのように歩き去って行った。

  2. 物語【日傘】第2話

    この数ヶ月の間、開いたことがないこの部屋の窓から見ると、向こうの竹林の緑の爽やかさと合間って、まるで暑い気配は感じられない。でも、この日差しの強さからすれば、真夏の太陽は容赦ないはずだ。この部屋からは、季節さえ忘れ去られている。その日は朝から強い風雨が吹き荒れていた。

  3. 物語【日傘】第1話

    いつもの時間、もう数ヶ月も閉じたままの窓から、外を覗く。小さな裏庭の低い垣根の向こうを、あの人が通り過ぎて行く。彼女の背景を彩る、通りを挟んだ竹林の竹のように、いつでもすうっと背筋を伸ばしまっすぐに前を向いて歩いていく。こちらに目を向けることはない。

  4. 物語【春を待つ日】最終話

    「一度自分の故郷へ帰ろうと思う。この国と違って気候が良くて住みやすい国だよ。でも、僕自身が住み難くしていたんだ」故郷で何かあったのだろう、と思ったけれど私は尋ねませんでした。「どんなに住み心地の良い場所でも、楽しむ心がないとダメだと君とこの国の人たちに教えてもらったよ。

  5. 物語【春を待つ日】第4話

    「故郷か…」故郷、と言った私の返事に何かを思い出したかのように若者はつぶやきました。「あなたはなぜ自分が生まれた国を出たの?」若者は私の質問には答えずに、アイスクリームのコーンの最後のひとかけらを口に放りこみました。

  6. 物語【春を待つ日】第3話

    この国では短い春の間、あちこちでお祭りが催されます。仕事が休みの日、カフェで出会った青年を町のお祭りに案内することにしました。お祭りの会場は、町の人たちだけではなく、近隣の国から稼ぎにきた大道芸人たちや観光客で賑わっています。

  7. 物語【春を待つ日】第2話

    そんなある日、見慣れない顔の青年がカフェにやってきました。青年の少し緑がかった瞳は、この国の生まれではないことを物語っていました。コーヒーを運んで行った私に青年が話しかけてきました。「この国はなんて素晴らしいんだろう。

  8. 物語【春を待つ日】第1話

    この国は春と冬、二つの季節しかありません。9ヶ月に及ぶ長い長い凍える季節が終わると、いっせいに草花が咲き、虫たちがもぞもぞと土からはい出し、短く美しい春の訪れを告げます。この国の人たちは、短い春の季節を待ち望んで寒い冬の季節を静かに過ごすのです。

  9. 物語【happy moon】最終話

    がっくりと肩を落としていた老人の目の前に、空から何かがふわりと落ちてきました。老人が落ちてきたものを拾うと、それは黄金に輝く羽根でした。老人がはっと我に返ったように空を見上げると、空には特別魅力的な三日月が輝いていました。老人は三日月を見上げながらいく粒もの涙を流しました。

  10. 物語【happy moon】第5話

    しばらくたわいないおしゃべりを楽しんでいた男の子と女の子は、ふと、町外れの公園に目を留めました。「ねえ、見て。あの公園にいる老人。人生に絶望しているようにみえるわ。」「そうだね。とても悲しそうだ。」「絶望の淵から救い出す方法はあるのかしら。」「それは本人の心次第だからね。

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