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物語【in blue】
濁った都会の海の、深い深い底。その深さが汚れを消し去った後には限り無いブルー。この都会の海の底に、人魚が住んでいました。人魚は、今日も海面に浮かび人間たちのドラマを垣間みています。立ち並ぶ高層ビル、水面に写る深夜でも消えないビルの明かり、時間を忘れて働くビジネスマン。
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物語【ある光】最終話
「君の光を失った人たちはみんな、人生のチャンスを得たんだ。光を求めながら、自分で暗闇の道を選んで歩いていてはダメだって、気がつくはずだよ。誰かに照らしてもらわなくても、自分で光の道を選んでいくべきなんだ。」彼女はびっくりしたように目を丸くして、僕を見つめた。「うん、そうだね。
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物語【ある光】第6話
「いないんですか?入るよ」といって、部屋に入ると、ベットの上にぼんやりと座り込んだ彼女がいた。「あ、ごめん。チャイムの音、気がつかなかった」そういって僕を見上げた彼女の左の頬は腫れて、赤くなっていた。「どうしたの?誰に殴られたの?」「うん。昨日のお客さん。
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物語【朝の仕事】最終話
私は歯を食いしばって両足に目一杯の力を込めて走りました。ちょっと前を走る相手をわずかに抜き去ると、私はアンカーにバトンを手渡しました。閉会式が終わり、荷物を持って校門を出るとお父さんが待っていました。「ごめんな。仕事がなかなか終わらなくて。
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物語【ある光】第5話
夏が近づいたある日、長患いをしていた祖父が亡くなったと故郷の母から連絡があった。その週末は毎週かかさず通っていた彼女の部屋に行かずに、故郷への電車に乗った。ここ数年、盆も正月も帰らずにいた故郷へ向かうのは気が重かったけれど、子どもの頃よく可愛がってくれた祖父の葬式には出たかった。
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物語【朝の仕事】第4話
だけど、みんなで囲むお弁当の輪の中に、私のお父さんはいません。私はなんだか食欲がわかなくて「しっかり食べないと午後から走れないわよ、リレーの選手でしょう?」と先生に背中をポンと叩かれました。
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物語【ある光】第4話
光を売る彼女の存在を偶然見つけて、この部屋に通い始めてからどれくらい経っただろう。僕には彼女の光と彼女と過ごす時間が必要だった。ある時、ビールを飲んでいる時に彼女に聞いてみた。
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物語【朝の仕事】第3話
お父さんはお弁当の時間になっても来ませんでした。ゆうこ先生が「お父さんからお電話があったわよ。お仕事が長引いているんだって。あなたの分のお弁当も用意してあるから、先生と一緒に食べましょうね。」と言ってにっこり笑いました。
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物語【ある光】第3話
「大丈夫?」「大丈夫よ。いつものことでしょう?ちょっとだけ待ってて」僕な膝を抱えたまま、光の余韻を楽しみながら彼女の回復を待った。やがて彼女はむくりと起き上がると、奥の部屋からビールとつまみの皿を持って来た。光を出した後は体がツラいんだろ?無理しなくていいよ。
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