【幸せを紡ぐ物語】

物語【ある光】最終話

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「君の光を失った人たちはみんな、人生のチャンスを得たんだ。
光を求めながら、自分で暗闇の道を選んで歩いていてはダメだって、気がつくはずだよ。
誰かに照らしてもらわなくても、自分で光の道を選んでいくべきなんだ。」
彼女はびっくりしたように目を丸くして、僕を見つめた。
「うん、そうだね。私は光を失ったけれど、きっとみんな自分の光を取り戻すわ」
「僕は君の光がなくても明るい道を歩いて行ける」
彼女は優しく僕を見てニコッと笑った。

「だから僕と一緒に来て」
「…え?どこへ?」
「いや…だから、これから僕と一緒に生きて欲しいんですけど…」
「何言ってんの?私はもう光を紡ぐことはできないのよ!」
「えーと、だから君の光はもう必要じゃないんだ。でも君が必要なんだよ」

彼女はあのマンションを引き払い、僕は彼女を故郷へ連れて行った。
薄暗い路地の向こうの部屋で、彼女の紡ぎだす光の幻想の中で何度も見た海。
その海を今、彼女とともに眺めている。
「風が気持ちいいね」と嬉しそうに振り返った彼女は、もう光を紡ぐことはない。
だけど、そこに光はある。

太陽に照らされ海の風に吹かれながら僕の腕をとってニコッと笑った彼女の髪からは、ただ潮の香りだけが漂った。

終わり
〈絵と文/松本圭〉

☆お読みいただきありがとうございました☆

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