ある光
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物語【ある光】最終話
「君の光を失った人たちはみんな、人生のチャンスを得たんだ。光を求めながら、自分で暗闇の道を選んで歩いていてはダメだって、気がつくはずだよ。誰かに照らしてもらわなくても、自分で光の道を選んでいくべきなんだ。」彼女はびっくりしたように目を丸くして、僕を見つめた。「うん、そうだね。
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物語【ある光】第6話
「いないんですか?入るよ」といって、部屋に入ると、ベットの上にぼんやりと座り込んだ彼女がいた。「あ、ごめん。チャイムの音、気がつかなかった」そういって僕を見上げた彼女の左の頬は腫れて、赤くなっていた。「どうしたの?誰に殴られたの?」「うん。昨日のお客さん。
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物語【ある光】第5話
夏が近づいたある日、長患いをしていた祖父が亡くなったと故郷の母から連絡があった。その週末は毎週かかさず通っていた彼女の部屋に行かずに、故郷への電車に乗った。ここ数年、盆も正月も帰らずにいた故郷へ向かうのは気が重かったけれど、子どもの頃よく可愛がってくれた祖父の葬式には出たかった。
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物語【ある光】第4話
光を売る彼女の存在を偶然見つけて、この部屋に通い始めてからどれくらい経っただろう。僕には彼女の光と彼女と過ごす時間が必要だった。ある時、ビールを飲んでいる時に彼女に聞いてみた。
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物語【ある光】第3話
「大丈夫?」「大丈夫よ。いつものことでしょう?ちょっとだけ待ってて」僕な膝を抱えたまま、光の余韻を楽しみながら彼女の回復を待った。やがて彼女はむくりと起き上がると、奥の部屋からビールとつまみの皿を持って来た。光を出した後は体がツラいんだろ?無理しなくていいよ。
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物語【ある光】第2話
僕は彼女に金を渡すと部屋の隅に膝を抱えて座った。この部屋のどこでどんな格好をしてもいいのだけれど、隅っこで膝を抱えると落ち着いた。灯りを消した部屋の中で、ベットに横たわった彼女のまわりだけがぼんやりと明るくなり始めた。
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物語【ある光】第1話
大きな駅を出てしばらくいくと薄暗い路地に出た。都会のビル街のまばゆい灯りの影となり、まるで数十年前から取り残されたままのような小さな家々がならんでいる。その路地をまっすぐに進んでいくと、いつものマンションに着く。
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