幸せを紡ぐ物語

  1. 物語【ガーベラ】第1話

    私は花です。ガーベラです。町の小さなお花屋さんに並んでいます。私は今日、どなたのお家に飾られるのかしら。夕方、白髪まじりの紳士がお店の前で足を止め、私を選んでくれました。私を抱える紳士のグレーのスーツからは、一日中働いた人の匂いがしました。

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  2. 物語【睡蓮】最終話

    「睡蓮の花というのは、昼に咲きはじめ、日の入りには眠るように閉じてしまうそうですね」若者は池の睡蓮をじっと見つめました。「そうです。この池の花ももうしばらくすると閉じてしまいます。

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  3. 物語【遠くへ行きたい】第2話

    ご主人様はこのところ毎日が退屈でたまらないようです。夏休みだと言うのに友だちと遊ぼうともしないで、しょっちゅう世界地図を眺めています。友だちが夢中になっているゲームもテレビも、ご主人様にとってはどこかの大人が作った偽物の世界にすぎません。

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  4. 物語【赤い花】最終話

    背の高い若者は、そっと腰を屈めて娘の前に赤い花を差し出しました。「あなたが悲しみの中にいるとき、必ず助けにきます。もしも空から赤い花びらが舞ったら、私があなたを見守っているときです」若者は娘に赤い花を手渡すと、その花びらを一枚ぷつりと抜いて口にくわえました。

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  5. 物語【睡蓮】第4話

    1年前、夢破れて故郷を離れてから、誰かのために力を尽くすなどと言うことがあっただろうか…。思えば今日まで、ただひたすらに自分のためだけの道のりだったと、若者は歩きながら旅路に思いを巡らせていました。小さな睡蓮の池を出てから、ちょうど丸一日たった午後、歩き続けた若者は西の森へつきました。

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  6. 物語【遠くへ行きたい】第1話

    私の飼い主であるご主人様は、どちらかというと物静かな女の子です。ですが、負けん気が強いところがあって、時には学校でいじめっ子に立ち向かい、家ではお父さんに囲碁の勝負で負けては悔し涙を拭い、いつでも心の中に秘めた炎を燃やしているのです。

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  7. 物語【睡蓮】第3話

    「旅の方、あなたにお願いがあります。私はとても大切な約束で明日の夕方までに西の森へ行かなければなりません。ですが、痛んだ羽が治るまで3日はかかるでしょう。どうか私を西の森まで運んでいただけませんか?」若者は驚きながらも快く妖精の願いを引き受けました。

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  8. 物語【flower fairies】最終話

    しばらくして三人の妖精がおじいさんの庭を見に行きました。妖精たちが庭を見ると、おじいさんの庭は色とりどりの花でいっぱいになっていました。庭の門は開け放たれ、町の人たちが次々におじいさんの庭を訪れていました。

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  9. 物語【赤い花】第2話

    娘は自分の竹筒に冷たい滝の水をたっぷり汲むと、若者のもとへ急いで戻りました。そっと助け起こし水を飲ませてやると、若者は美味しそうに水を飲みました。次の日、同じ場所に行くと若者は木に寄りかかって座っていました。昨日よりも具合が良さそうでしたが、まだ生気のない顔をしています。

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  10. 物語【睡蓮】第2話

    気のせいか…と思って、池へ目をやると、池に浮かぶ睡蓮の葉の上に、背中に羽をつけた小さな少女が座っている姿が目に入りました。少女の大きさは、若者の手のひらに乗るくらいでしょうか。旅の疲れが見せる幻か、と思い、若者は目をこすりもう一度池を見ましたが、やはり睡蓮の葉の上に少女がいます。

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