【幸せを紡ぐ物語】

物語【羽ばたく】第2話

06_habataku

ある時、疲れきり、悲しみに暮れた白い鳥は島のはずれの岸壁にやってきました。
岸壁から覗くと、遥か下のほうで波が岩に当たっては砕け、白い泡が渦巻いていました。

海の向こうの遠くの世界に思いを馳せながら、
「なぜ自分は鳥なのに飛ぶことができないのだろう?自分には鳥として生きている価値もない」
と、海に身を投げようとしました。
そこへ、白い羽根を羽ばたかせながら1人の天使がやってきました。

「鳥よ、なぜあなたは海に身を投げようとするのです」
「天使さま、私は鳥に生まれ、このような翼を持っているのに、空を飛ぶことができません。
鳥は空を飛ぶために生まれ、魚は海を泳ぐために生まれ、花は美しく咲き乱れるために生まれ、それぞれが自分の役目を全うしていると言うのに、私は鳥に生まれながら空を飛ぶことができないのです。
生きている価値などありません」

…第3話へ続く
〈絵と文/松本圭〉

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