【幸せを紡ぐ物語】

物語【祝福】第3話

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父さんがいなくなってから長い時が流れ、僕は言葉と文字を忘れないようにする、と言う約束を守っていたけれど、言葉を知っていても文字を知っていても、誰にも何も伝えたいことがなかったし、そもそもずっと1人だったから伝える相手もいない。
はて、ではなぜ人として生まれたのだろうか?
と、時折思う。
誰とも会わずに、誰とも話さずに、いつも1人でいるのならば、僕は木にでも生まれれば良かったのかもしれない。

誰と話すわけでもないのだけれど、言葉と言うのは感情を表すのにとても便利なものだ。
感情が自分を追い込んでしまうとき、言葉や文字が僕を助けてくれた。
そもそも言葉がなかったら、悲しみなんて言う複雑な感情は生まれていないのかもしれない、とも思ったけれど…。
僕は言葉を忘れないように、そして、人間としての感情を忘れないように、木や花に話しかけた。

ある時、父さんが残した荷物の中から何枚もの手紙を見つけた。
父さんの荷物は、自分が生きるために役立つものはないか隅から隅まで見たはずだけど、何年もの時を経て、その手紙は僕の目の前に現れた。

…第4話へ続く
〈絵と文/松本圭〉

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