【幸せを紡ぐ物語】

物語【黄色いバラ】第1話

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このカフェの名前は「黄色いバラ」。
とびきりオシャレ、というわけでもなく、町の喫茶店、と言うほうがあっている、でもどこか雰囲気のある佇まい、そんなお店です。
バラの季節には毎年黄色いバラがテーブルを彩り、いつもよりちょっぴりお店が華やぎます。

あるバラの季節のできごとです。
その日は客足が少なく、白髪の店主は丁寧にお店のテーブルやカウンターを磨き上げていました。
そこへ、「チリン」と音を立てて扉が開き、一人の女性が入ってきました。

「いらっしゃいませ」
パッとドアのほうを見た店主は「おや?」というように首を傾げました。
「こんにちは。私を覚えていらっしゃいますか?」
仕事柄人を覚えるのが得意な店主ですが、一瞬「はて、見覚えはあるが…」と記憶の糸をたどりました。

…第2話へ続く
〈絵と文/松本圭〉

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