【幸せを紡ぐ物語】

物語【日傘】最終話

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閉じ切ったままの窓に顔を寄せ、吹き荒れる雨風の中を悠然と歩いていくあの人の姿を見つめた。
一瞬強い風が吹き、竹林がざわっと揺れ、笹の葉が舞い散った。

あの人はよろめき立ち止まったけれど、額に張り付いた笹の葉をさっと払いのけると、何事もなかったかのように歩き去って行った。

数ヶ月の間、開けることがなかった窓を開けた。

夏の嵐とともに、生きている空気が部屋の中を駆け巡り、一瞬にしていつもの部屋が違う世界に変わる。
風に散った笹の葉が部屋に迷い込み、宙を舞った。

明日は台風一過の青空が広がるだろう。

終わり
〈絵と文/松本圭〉

☆お読みいただきありがとうございました☆

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