閉じ切ったままの窓に顔を寄せ、吹き荒れる雨風の中を悠然と歩いていくあの人の姿を見つめた。一瞬強い風が吹き、竹林がざわっと揺れ、笹の葉が舞い散った。あの人はよろめき立ち止まったけれど、額に張り付いた笹の葉をさっと払いのけると、何事もなかったかのように歩き去って行った。
この数ヶ月の間、開いたことがないこの部屋の窓から見ると、向こうの竹林の緑の爽やかさと合間って、まるで暑い気配は感じられない。でも、この日差しの強さからすれば、真夏の太陽は容赦ないはずだ。この部屋からは、季節さえ忘れ去られている。その日は朝から強い風雨が吹き荒れていた。
いつもの時間、もう数ヶ月も閉じたままの窓から、外を覗く。小さな裏庭の低い垣根の向こうを、あの人が通り過ぎて行く。彼女の背景を彩る、通りを挟んだ竹林の竹のように、いつでもすうっと背筋を伸ばしまっすぐに前を向いて歩いていく。こちらに目を向けることはない。
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