【幸せを紡ぐ物語】
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物語【night piece】第1話
眠れない夜、窓を開け小さなベランダから通りを見下ろしていました。誰もいない街。人の気配を感じない夜の街は、まるでゴーストタウンのようです。ぼんやり照らす街灯の灯りの中、一匹の猫の姿が見えました。「こんばんは」私の方を見上げた猫が挨拶をしてきました。
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物語【happy moon】第5話
しばらくたわいないおしゃべりを楽しんでいた男の子と女の子は、ふと、町外れの公園に目を留めました。「ねえ、見て。あの公園にいる老人。人生に絶望しているようにみえるわ。」「そうだね。とても悲しそうだ。」「絶望の淵から救い出す方法はあるのかしら。」「それは本人の心次第だからね。
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物語【キャンディ】第2話
おとなしくて友達が少なかった小学生の私は、ウチから歩いていける場所にあった、おばあちゃんが一人で暮らすマンションに、おばあちゃんが暇そうな時を見計らっては遊びに行きました。マンションのチャイムを鳴らすと、ドアからのぞくおばあちゃんの満面の笑顔。
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物語【happy moon】第4話
下を向いて考え込んでいた男の人は、ふと顔を上げました。その瞳には迷いの色はありませんでした。夜空に輝く三日月を見上げ、何かを決意したように一つ深呼吸をして立ち上がると、鞄を持って歩き出しました。さっきまで丸く縮こまっていた男の人の背中は、月の光を浴びて力強く輝いています。
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物語【happy moon】第3話
2人はふと、ベンチが1つあるだけの寂れた公園に目を留めました。「ねえ、見て。あの公園にいる男の人。一人ぼっちで考え込んでいるわ。」「そうだね、深刻そうな顔をしているね。」「問題に立ち向かおうとしているのね。」「まだ心が揺れているけど、きっと立ち向かえるさ。
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物語【シャボン玉】最終話
「いつもあなたを見ています。遠くの空から見ています。」今日もまたあの夢を見ました。1ヶ月に1度、必ず見る夢。どこか遠くの空から私に語りかける声がして、私は声の主を捜すのだけれど、あたりには誰も見当たりません。見上げる上空には青い色が広がり、たくさんのシャボン玉が舞っています。
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