【幸せを紡ぐ物語】

  1. 物語【喝采】前編

    ある街のはずれ、真夜中になると、どこからかかすかに歌声が聞こえる。その店がどこにあるのか、誰も知らない。夜、もう日付が変わる頃になると客たちが集まり、店の中は活気づく。グラスをかたむけながら語り合う紳士淑女。婦人たちの軽やかな笑い声に、店の空気が楽しげに揺らめいた。

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  2. 物語【赤い花】

    あるところに、気だてが優しくて働き者の娘がいました。娘の家はとても貧しかったので、村の学校へも行かず、小さな妹や弟の面倒を見ながら毎日家の手伝いをして暮らしていました。娘は今日も父さんに言いつかって、一人で山へ薪を拾いに行きました。

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  3. 物語【cross road】後編

    必ずまた会える誰かを信じられるなら、一人も時には楽しいものです。でも、それは孤独ではありません。孤独が好き、なんて言う人は、本当に孤独な思いをしたことがない人なのでは?なんて思ってしまいます。ふと、故郷の星を探して空を見上げました。私はもう二度と生まれた星へは帰れないのです。

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  4. 物語【月夜のできごと】

    ある三日月がキレイな晩のことです。この家に住んでいる、パパとママとお嬢ちゃんと坊やはすやすやと夢の中。窓辺に置かれたママのお気に入りの瓶やグラスが、月明かりに照らされて薄い影を作っています。その瓶の間から、勝ち気そうな顔をした小さな小さな女の子がひょっこりと顔を出しました。

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  5. 物語【stand alone】

    私は旅をしていました。長い長い暗闇の中を一人歩く旅です。光り輝く星が見えるでしょうか。私にはまだ見えません。私はどこへ向かえばいいのでしょうか。西か東か、今はそれさえもわかりません。誰かが空を指し示し「ほら、あれがあなたの目指す星だよ」と、教えてくれたらいいのに。

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  6. 物語【夏の終わり】第1話

    この島と対岸の街をつなぐのは、1日たった1往復の船便だけ。そんな小さな離れ小島で、私は暮らしていました。学校の友だちは小学校一年生のときからずっと同じ顔ぶれで、まるで兄弟のように育ち、島全体が一つの家族のようです。

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  7. 物語【すずらん】

    あたしはすずらんの妖精、5月生まれよ。すずらんって白くてぷっくりと垂れ下がって並んだ、小さなお花がキュート。誰だってすずらんを見たらウットリしちゃうでしょ?だからほら、自分で言うのもなんだけど、すずらんの妖精のあたしもとってもキュート。自慢じゃないけどモテモテなの。

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  8. 物語【夏の終わり】最終話

    もう夏が終わろうというある日、私が海の見える丘へ行くと、女の人はいませんでした。いつも2人で並んで海を見た木陰はただ風が吹き抜け、ざわざわと木の葉たちが揺れています。約束をしているわけでもないし、いつも会うわけではなかったけれど、妙な胸騒ぎを覚えて私は辺りを見回しました。

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  9. 物語【夏の終わり】第3話

    約束をしていたわけではないけれど、私たちはたびたびの見える丘で会いました。女の人は、外国の映画の話、私にはまだ難しい小説の話、ファッションやおしゃれの話、いろいろな話を聞かせてくれました。時には何も話さずに海を眺めていることもありました。

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  10. 物語【夏の終わり】第2話

    ある夏のこと、一日一度の船便に乗って一人の女の人が島へ降り立ち、暮らし始めました。ときおり物好きな旅人がやってくるけれど、この島へ外からの人が住み着くことは滅多にありません。島の人たちは戸惑い、女の人とは距離を置くように過ごしていました。

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