【幸せを紡ぐ物語】

物語【ガーベラ】第3話

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私は花です。ガーベラです。
町の小さなお花屋さんに並んでいます。
私は今日、どなたのお家に飾られるのかしら。

日曜日の昼過ぎ、若い女性がお店にやってきて、私を選んでくれました。
私を抱える女性のブラウスからは、甘い香水の香りがしました。
もしかして、これからデートかしら?

ワンルームのマンションの部屋に戻った女性は、可愛らしいガラスの花瓶に私を生けてくれました。
そして、一人暮らしらしいちいさなテーブルにそっと飾りました。
女性は紅茶を入れて、冷蔵庫からケーキを出して、テーブルの上の私を相手にティータイムを過ごしました。
ケーキを食べ終えると、ふと、女性の目から涙がこぼれ落ちました。

何があったのかわからないけれど、元気を出して。
私はあなたのために、明日の朝も可憐に咲きましょう。

…第4話へ続く
〈絵と文/松本圭〉

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