【幸せを紡ぐ物語】

  1. 物語【希望の歌】第3話

    魔の谷には絶対に行ってはいけない。小さな頃から大人達から厳しく言われていたけれど、鞄に数日分の水とパンを詰め込むと、僕と仲間たちは魔の谷へ向かった。長く険しい道を、ゴロゴロと転がる石に足を取られながら歩き続けた。

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  2. 物語【静かな物語】最終話

    この森に春が来ました。居心地の良い土の中から旅立つ時がやってきたのです。土の外はどんな匂いがするのかしら?どんな風が吹いているのかしら?土の中から這い出た私は、生まれて初めて羽を広げ、まだ少し冷たい春の空気を吸い込みました。今、世界のすべてが、私に手を差し伸べています。

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  3. 物語【good night】第3話

    ある町で出会ったある人は、私に喜びを教えてくれたの。その人の虹色に輝く光で、私の心もワクワクした嬉しい気持ちでいっぱいになった。私はその光を受け取ると、くるりと一回りして自分の心にポーンと放り込んだわ。まるでダンスを踊るみたいに。

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  4. 物語【希望の歌】第2話

    僕は生まれた時からこの景色をみて育ったので、昔がどんなに素晴らしい世界だったのか知らない。だけど、誰もが笑顔を忘れたこの世界を、変えたいと思っていた。ある日、仲間の一人が言った。「夕べ大人たちが話しているのを聞いたんだけど、魔の谷には希望の箱っていうものがあるんだって。

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  5. 物語【静かな物語】第3話

    ホウホウホウホウ…森の神様の語る声。ほらほら春はもうすぐですよ。森の生き物たち、もう少しの辛抱です。土の中で眠るものたち、目覚めの時が近づいていますよ。私には新しい季節の足音が聞こえています。そよそよそよそよ…風の声。さあさあ南の風がやってきましたよ。

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  6. 物語【good night】第2話

    ねえねえ聞いて、私の話。私はそれから旅をして、いろいろな人に出会ったわ。ある町で出会ったある人は、私に優しさを教えてくれたの。その人の優しさは暖かいオレンジをした光で、心細さで一杯だった私の心を癒してくれた。私はその光を受けとると、自分の心にそっとしまったわ。

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  7. 物語【希望の歌】第1話

    この地は悲しみに覆われていた。空は黒ずみ、木々の葉は落ちたまま緑に茂ることもなく、草花は枯れ果て、人々は絶望とともに生きていた。昔は良かった…。幼い頃に見た景色はどこへ行ってしまったんだろう。この世界には希望がない。

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  8. 物語【静かな物語】第2話

    ざわざわざわざわ…木々の声。まだまだ風が冷たいね。今日は特に冷えること。森の中の生き物たちは寒くはないかしら。さあ、今日もこの森を守りましょう。ひそひそひそひそ…生き物たちの話し声。まだまだ春は遠くだね。

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  9. 物語【good night】第1話

    ねえねえ聞いて、私の話。私はここで生まれたの。ここってどこ?って聞かれたら、それはこのカラスウリの花って答えるわ。カラスウリの花ってね、夜になると咲いて次の朝にはしおれてしまうの。

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  10. 物語【夜間飛行】最終話

    やがて、小さな自分のアパートへ舞い戻った青年に、翼をつけた女性が言いました。「あなたはどこへでも行くことができる。想像力という翼を広げて、どこへでも…」女性はにっこり微笑むと、パサリとわずかに羽の音をさせて、夜の空へと飛び立っていきました。

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