【幸せを紡ぐ物語】

物語【見知らぬ雨】第1話

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ある街を、女の子が1人歩いていました。
足もとの石畳は雨に濡れ、通りを行く人々は足早に家路を急いでいます。

女の子にとっては初めて訪れる街。
まるで降りしきる雨さえも、見知らぬ他人の顔をしているようです。
女の子は身の回りのものが入った鞄を背負い直すと、冷えた手に息を吹きかけました。

通りの家々の窓からは、暖かそうな明かりが漏れています。
家の中からは、子どもたちの笑い声がかすかに聞こえ、おいしそうなスープの香りが漂ってきました。
そんな幸せそうな光景には目を向けず、石畳の石の数を数えるように女の子は歩き続けていました。

…第2話へ続く
〈絵と文/松本圭〉

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