【幸せを紡ぐ物語】

物語【風の匂い】第2話

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「君は誰なの?」と男の子が言うと、女の子は答えずにニコッと笑いました。
女の子が笑うと小さく風が吹いて、海の匂いがしました。
男の子は、夏休みにお父さんが連れて行ってくれた海水浴を思い出しました。
お父さんは「今日は男だけで行くぞ」といって、ふくれっ面をする妹を残し、男の子とケンタを連れて行ってくれたのでした。
じりじりと背中を焦がす日差しをものともせずに遊んだ夏の一日。

男の子はまた胸がキュンと痛みました。

「もう日が暮れるわよ、秋がすぐそこまできてるから」
女の子が言いました。
するとまた、女の子の方から風が吹いて、今度はお好み焼きの匂いがしました。

…第3話へ続く
〈絵と文/松本圭〉

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