幸せを紡ぐ物語

物語【ある光】第3話

04_aru_hikari

「大丈夫?」
「大丈夫よ。いつものことでしょう?ちょっとだけ待ってて」
僕な膝を抱えたまま、光の余韻を楽しみながら彼女の回復を待った。
やがて彼女はむくりと起き上がると、奥の部屋からビールとつまみの皿を持って来た。

光を出した後は体がツラいんだろ?無理しなくていいよ。
…と言うべきだと思いながら、言ったことはない。
彼女の光で心が満たされたあと、一緒にビールを飲むこの時間が愛おしかったからだ。

彼女が部屋の窓を開けると風に乗って外の匂いが入って来た。
いい匂いとはとは言いがたいのだけど、彼女は「風が気持ちいいね」といって嬉しそうにビールを飲んだ。
「仕事の方はどう?」
「相変わらず最悪だよ」
僕が答えると、彼女は優しく僕を見つめながらニコッと微笑んだ。

事実、僕は週に1回彼女の光を与えてもらわなければ、会社での一週間を乗り越えることはできない。
彼女に払う金額は僕の給料からすると安くはなかったけれど、特に趣味もなく恋人もいない僕にとっては払う価値があった。

…第4話へ続く
〈絵と文/松本圭〉

・・・◆・・・◆・・・◆・・・


絵画作品「ある光」作品詳細はこちらからどうぞ!

関連記事

ページ上部へ戻る