【幸せを紡ぐ物語】

物語【ある光】第4話

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光を売る彼女の存在を偶然見つけて、この部屋に通い始めてからどれくらい経っただろう。
僕には彼女の光と彼女と過ごす時間が必要だった。

ある時、ビールを飲んでいる時に彼女に聞いてみた。
「光を出したあとベットに横たわっている君を見て、横しまなことを考える客はいないの?」
彼女はちらりと僕を見て答えた。
「いないわよ。だって、ここに来る人たちは私の光がなければ生きていけない人ばかりだもの。出入り禁止になったら困るでしょ?」
たしかにそうだ。
僕だって、彼女の光に癒されることができなくなったら、今の生活は破滅するだろう。

「僕の他にどれくらいの客がいるの?」
「そんなにいないわ。だって、一日にそうそう何度も光を出すことはできないもの」
「僕以外の客も男?」
「そうね。男性ばかりよ」
胸の辺りにかすかな痛みが走った。
その男たちともこうしてビールを飲んで過ごすの?
僕以外の客にも優しい笑顔を向けるの?
…と聞きたかったけれど、僕はそしらぬ顔でビールを飲んだ、はずだ。

「男の人はみんな寂しいのね」
そうつぶやいた彼女の髪から、白檀の香りが漂った。

…第5話へ続く
〈絵と文/松本圭〉

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