【幸せを紡ぐ物語】
10.32022
物語【朝の仕事】第2話
土曜日の朝、お父さんはやけに早く起きたようです。
ごそごそと人が動く物音で目が覚め、
「お弁当作ってくれるのかなあ…、コンビニのお弁当でもいいのに…」
と、寝ぼけた頭でぼんやり思いながら、嬉しい気持ちがこみ上げてきました。
今年の運動会はお父さんが見に来てくれる。
だけど、起きだしてキッチンへ行くと、お父さんはいませんでした。
キッチンのテーブルには紙が置いてあり、「急な仕事になったので会社に行ってくる。運動会へは後から弁当を買って持って行くから」と書いてありました。
嬉しい気持ちはあっという間に消え去り、私の心の中に灰色の雲がかかりました。
今日は気持ちがいい晴天、まさに運動会日和です。
小学校の校庭は運動会を見物に来たたくさんの人でにぎわい、クラスの中には、お父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃん、家族総出で見に来てくれている、という子もいました。
「お父さんはいつ来てくれるんだろう…」
心細く思いながら午前中の競技が終わって行きました。
…第3話へ続く
〈絵と文/松本圭〉
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