【幸せを紡ぐ物語】

物語【月夜のできごと】第2話

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月夜の主役はこの私。

女の子が我が物顔で家の中を物色していると、どこかで小さな声がしました。
「ママ…」
坊やが眠たげに目をこすりながらリビングに入ってきました。
「ちぇっ、また坊やが起きちゃった」
女の子は舌打ちをしました。
まだ小さい坊やは、こうして時々夜中に目を覚まし、女の子のお楽しみを邪魔するのです。

坊やがパパとママのベッドルームへ行く前に、もう一度眠りについてもらわなきゃ。
「ママが起きて来たら、お楽しみの時間が台無しだわ」
ここが私の腕の見せどころ。

「小さな坊や、ほうら、窓辺を見てごらん」
坊やよりも遥かに小さい女の子が呼びました。
寝ぼけ眼の坊やが窓辺を見ると、お月様の光に照らされて小さな女の子が手を上げてあいさつしています。

…最終話へ続く
〈絵と文/松本圭〉

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