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【幸せを紡ぐ物語】
12.282024
物語【cross road】前編
私の宇宙船がこの星に不時着して半年が経ちました。
右も左も分からなかった私は、親切な地球人のおばさんに助けられ、なんとか暮らしています。
昼間は工場で働いて、自分の生活費を稼ぐようにもなりました。
私の故郷の星にいるお父さんお母さん、どんなにか心配していることでしょう。
あんなに宇宙船の整備はちゃんとするようにって言われていたのに、なんで私は言いつけを守らなかったのかしら。
私の友だちたちはどうしているでしょう。
いつもドジばかりの私を助けてくれた友だち、今度ばかりは助けてもらうこともできません。
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仕事が休みの日になると時々、私はこの交差点にやってきます。
巨大な交差点の真ん中に立って人ごみにまぎれていると、雑踏の中、妙な安心感を覚えます。
地球人だろうが、宇宙人だろうが関係なく、この雑踏の中では私は大勢の中の一人にすぎないのです。
そしてまた、猛烈な孤独感を感じることもあります。
こんなにも人がたくさんいるというのに私だけが違う星の人だなんて、なんという孤独でしょう。
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…後編へ続く〈絵と文/松本圭・2015年〉
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