幸せを紡ぐ物語

物語【春を待つ日】第2話

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そんなある日、見慣れない顔の青年がカフェにやってきました。
青年の少し緑がかった瞳は、この国の生まれではないことを物語っていました。

コーヒーを運んで行った私に青年が話しかけてきました。
「この国はなんて素晴らしいんだろう。人々は笑顔で満ちあふれ、人生を存分に楽しんでいるようだね」
私は複雑な気持ちで答えました。
「あなたはこの国のことを知らないのね」
聞いたところによると、旅の途中でたまたま立ち寄っただけで、この小さな国のことは何も知らない、とのことでした。

「この国には二つの季節しかないのよ。今は短い春がやってきたところなの。
みんながウキウキ楽しそうなのは春だからよ」
「ああ、そうか、噂で聞いたことがある。ここが1年の大半が寒い冬の季節の国か…」
「たまたま春の時期に通りすがったのだから、あなたはラッキーね」
私はそういって笑いました。

…第3話へ続く
〈絵と文/松本圭〉

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