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【幸せを紡ぐ物語】
12.22022
物語【candle in the wind】第4話
私はその晩夢を見た。
このところ、決まって明け方に泣きながら目を覚ましていたけれど、見た夢は覚えていなかった。
だけど、その晩の夢は鮮明に心に残るものだった。
私は荒れ果てた荒野のような、見渡す限りの灰色の世界で冷たい風に吹かれていた。
感じるのはただ孤独だけ。
だけれど、驚くことに私はその場所で1人ではなかった。
気がつくと隣に1人の人間が立っていた。
「あなたは、神様ですか?」
人間の男のように見えるその人物に、私は尋ねたけれど、その人は答えなかった。
神かどうかはわからないけれど、私はその人に聞いてみた。
「愛は永遠、恋は一時、そんな風に人は言うけれど、愛と恋の違いってなんなのでしょうか。
永遠の愛を誓ってさえ別れる人もいます。
私と彼の間には、一時の恋心しかなかったってことなのでしょうか?」
愛ではなくてただの恋、こんなにも胸が痛み、苦しいと言うのに…。
その人はしばらく沈黙した後、静かに口を開いた。
「愛は光、恋は炎。愛の光は誰も奪い取ることはできない、あなたの魂の永遠なる輝きだ。恋の炎は時として、風に吹かれるキャンドルのように儚い。たえず2人で慈しみ、強い風が吹く日も雨が降る日も、お互いの心を合わせて両の手で守らなければ消えてしまう。」
私と彼のキャンドルの火は、風に吹かれて消えてしまったと言うわけだ。
その炎を慈しみ、心を合わせて守ることができなかった。
心の中を冷たい風が吹き、涙が頬をつたった。
…第5話へ続く
〈絵と文/松本圭〉
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