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【幸せを紡ぐ物語】
11.172024
物語【night game】
一人で過ごす夜、大きな窓から見下ろす都会、エラい社長さんが座るようなゴージャスな椅子に身を沈めて、ゆったり時を過ごしましょう。
肘掛けに置いた手にはブランデーグラス。
グラスの中の琥珀色の液体から立ちのぼる芳香な香り。
気分をだしてグラスをまわしてみたりして。
優雅な気分で、王様みたいな気分で、外国のセレブみたいに(外国のセレブがどんなだか知らないけど!)、リッチな気分で、自分のために一人の時間を過ごします。
明日は朝からおしゃれして、外国のお店が建ち並ぶあの街へショッピングに出かけましょう。
週末のパーティに着ていくドレスを選んで、宝石店でアクセサリーも買うの。
お買い物に疲れたら高級なレストランで3時間かけてゆっくりランチ。
窓辺の特等席で私がパチリと指を鳴らすだけで、料理が運ばれ特別なデザートが用意されたりして。
山ほど買った戦利品はもちろん召使いに持ってもらって、リムジンみたいな大きな車でお家まで。
そこへ電話が鳴りました。
「今日宅急便でリンゴを送ったから」
お母さんの声で、気持ちは一気に現実に…。
ふと我に返って見回す部屋は、どう見ても質素な一人暮らし。
窓の向こうのベランダでは、取り入れ忘れた洗濯物が揺れています。
本当の私は全然偉くなくてセレブでも何でもなくて、毎日せっせと働いて、サンドイッチとコーヒーのランチを食べて、友だちとメールして、恋の悩みに胸を痛めて、電車の中で本を読んで、ホントはとっても狭いアパートで暮らしているんだけど…。
一人の時間をどういう気分で過ごすかは、私の自由。
想像力を味方に付けて、毎晩こんな優雅なゲームを楽しめる私って素敵でしょ?
エッヘン!
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終わり〈絵と文/松本圭〉
☆お読みいただきありがとうございました☆
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