【幸せを紡ぐ物語】
5.12023
物語【睡蓮】第1話
あるところに睡蓮の花が浮かぶ、小さな池がありました。
その水は青く澄んでいましたが、重なりあうように浮かぶ睡蓮の葉に覆われた水の底は、暗く深い色をしていました。
ある暑い日の午後、旅の途中の若者が、一休みしようと睡蓮の池へやってきました。
若者は、池のほとりの木陰に座り、水辺の心地よい風に吹かれながら、旅の疲れを癒していました。
池のまわりに人影はありませんでしたが、若者は、ふと気配を感じてまわりを見回しました。
けれど、誰も見当たりません。
…第2話へ続く
〈絵と文/松本圭〉
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