【幸せを紡ぐ物語】

物語【night piece】最終話

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「私の飼い主は一人で暮らしていた時だって、とても幸せそうだったよ。
自分を愛して慈しんでいたからね」
「その人は…1年前に亡くなったの?」
「いや、元気だよ」
猫がニヤリと笑いました。

「1年前に王子様が現れて、一人暮らしではなくなったのさ。
私は二人の邪魔をしないように、こうして夜な夜な外で時間を潰しているっていうわけ」

猫は「にゃー」と猫らしく鳴くと、白い洋館の庭へ消えて行きました。

アパートに戻った私は、買ったまま放り出してあったアロマキャンドルに明かりを灯しました。
ゆらゆらと優しく揺れるろうそくの明かりと、甘い香りに満たされた部屋の中。
私は幸せな老婦人に思いを馳せながら、深い眠りに落ちました。

終わり
〈絵と文/松本圭〉

☆お読みいただきありがとうございました☆

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