【幸せを紡ぐ物語】

物語【黄色いバラ】第2話

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「去年の今頃、雨の日に…」
女性が言いかけたとき、店主の記憶にあの雨の日がよみがえりました。
「あなたはあの時の…」
「はい」
「見違えました。お元気そうで」
「はい」
と答えると、女性は照れたように笑いました。

昨年のバラの季節のある雨の日、カフェの窓から通りを見た店主は、雨に濡れるがままに立ち尽くす女性の姿を見つけたのでした。
放っておくことができずに、傘をさして女性のもとまで行くと、カフェまで招き入れたのです。

「あの日、暖かいココアをごちそうしてくださいました」
「そうでしたね」
「とっても美味しかったわ。今日もココアをお願いします」

店主は甘い香りを漂わせた暖かいココアを、女性の席まで運びました。
ココアを一口飲むと、女性は店主のほうへ目を向けました。

…第3話へ続く
〈絵と文/松本圭〉

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