【幸せを紡ぐ物語】

物語【喝采】第3話

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そんなある日、もう日が暮れた頃、空き地で1人歌う女に声をかけるものがいた。
声をかけてきたのはクラシックなスーツに身を包んだ上品な紳士で、この近くにある高級クラブのオーナーだと自己紹介をした。
紳士は女の歌を賞賛し、自分の店の歌手として舞台に立たないか、と誘ってきたのだ。
女は飛び上がって喜び、一も二もなくその申し出を受けた。

「この空き地の近くにそんな高級クラブがあったかしら?」
そんな疑問が一瞬頭をよぎったけれど、歌えるのであれば、そこがどこであろうとかまわない。
自分の歌声を聞いてもらえるのであれば、それが誰であろうとかまわない。

それから毎晩、こうして店の舞台で歌い続けている。

…最終話へ続く
〈絵と文/松本圭〉

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