【幸せを紡ぐ物語】

物語【春を待つ日】最終話

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「一度自分の故郷へ帰ろうと思う。
この国と違って気候が良くて住みやすい国だよ。
でも、僕自身が住み難くしていたんだ」
故郷で何かあったのだろう、と思ったけれど私は尋ねませんでした。

「どんなに住み心地の良い場所でも、楽しむ心がないとダメだと君とこの国の人たちに教えてもらったよ。
僕は夏に外でアイスクリームを食べたことさえなかった」
青年はそう言うと少し離れたところにあるアイスクリームの出店まで走って行きました。

アイスクリームを2つ買って戻ってくると、その片方を私に差し出しました。
「来年の春に戻ってくるよ。
そして、来年は寒くて長い冬も君と一緒に過ごしたい。
2人なら春の喜びが倍になり、寒くて長い冬も暖かい気持ちで過ごせると思う」
私はアイスクリームを口に運ぶ振りをしながら、黙って小さく頷きました。

あれから9ヶ月あまり、もうすぐ長かった冬が終わりをつげます。
またあの心弾む季節が訪れるのです。
思いを募らせる恋人との再会ように、待ちわびるからこそ輝く季節。
ほら、春の足音が聞こえています。

終わり
〈絵と文/松本圭〉

☆お読みいただきありがとうございました☆

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