【幸せを紡ぐ物語】&【創作レッスン】

【物語】cross road

松本圭の絵画作品「cross road」の画像

この星に、たった一人取り残された宇宙人の女の子。
あなたが独りの時、あなただからこそできる何かを、きっと見つけられる。


私の宇宙船がこの星に不時着して半年が経ちました。
右も左も分からなかった私は、親切な地球人のおばさんに助けられ、なんとか暮らしています。
昼間は工場で働いて、自分の生活費を稼ぐようにもなりました。

私の故郷の星にいるお父さんお母さん、どんなにか心配していることでしょう。
あんなに宇宙船の整備はちゃんとするようにって言われていたのに、なんで私は言いつけを守らなかったのかしら。

私の友だちたちはどうしているでしょう。
いつもドジばかりの私を助けてくれた友だち、今度ばかりは助けてもらうこともできません。

仕事が休みの日になると時々、私はこの交差点にやってきます。
巨大な交差点の真ん中に立って人ごみにまぎれていると、雑踏の中、妙な安心感を覚えます。
地球人だろうが、宇宙人だろうが関係なく、この雑踏の中では私は大勢の中の一人にすぎないのです。

そしてまた、猛烈な孤独感を感じることもあります。
こんなにも人がたくさんいるというのに私だけが違う星の人だなんて、なんという孤独でしょう。

必ずまた会える誰かを信じられるなら、一人も時には楽しいものです。
でも、それは孤独ではありません。

孤独が好き、なんて言う人は、本当に孤独な思いをしたことがない人なのでは?なんて思ってしまいます。

ふと、故郷の星を探して空を見上げました。
私はもう二度と生まれた星へは帰れないのです。
先週の水曜日、隠しておいたはずの私の壊れた宇宙船を、リサイクル業者のお兄さんが回収して鉄くずにしてしまったのですから!

いろいろな雑音が混じりあう交差点で、この星の歌が聞こえてきました。
ジョン・レノンという地球人の歌です。
この人が言った言葉が私をいつも励ましてくれます。

君が独りの時、本当に独りの時、誰もができなかったことをなしとげるんだ。
だから、しっかりしろ。
(ジョン・レノン)

お父さんお母さん、友だちのみんな、私はこの地球で力の限り生きて行こうと思います。

終わり


〈絵と文/松本圭・物語制作2015年〉
お読みいただきありがとうございました

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