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【創作レッスン】透明水彩のにじみと重ね塗りとは?基本技法と美しい色を生かすコツ

透明水彩のにじみと重ね塗りとは?基本技法と美しい色を生かすコツ

幸せを紡ぐ絵 画家・アート講師
松本圭です。

私が制作する時メインで使っている画材は、アクリル絵の具と透明水彩絵の具。
どちらも水で扱える、色が美しい大好きな絵の具です^^

今回は透明水彩の代表的な技法、「にじみ」と「重ね塗り」についてご紹介します。

水彩絵の具には、透明水彩絵の具と不透明水彩絵の具があります。

私たちが小学校で使っていた絵の具は、不透明水彩に近い性質を持つ絵の具です。

透明水彩絵の具も不透明水彩もどちらも顔料(色の成分)とアラビアゴムと言う糊で作られていますが、原料の配分に違いがあります。

透明水彩絵の具は顔料が少なくアラビアゴムの量が多いため、下の色が透けて見える透明感が最大の特徴です。

色の美しさや水の力によってできるにじみ、また、色を重ねても下の色が完全には隠れないため、色同士が重なり合って生まれる繊細な色彩を楽しめるのも透明水彩ならではの魅力ですね^^

透明水彩には、絵の具の性質を生かしたさまざまな技法があります。

代表的なものとして、

  • にじみ(Wet on Wet)
  • 重ね塗り(Wet on Dry)
  • ぼかし(Graded Wash)
  • 平塗り(Flat Wash)
  • ドライブラシ(Dry Brush)
  • リフティング(Lifting)
  • スパッタリング(Spattering)

などがあります。

これらの技法を組み合わせることで、幅広い表現が可能になります。

こんなたくさんの技法を覚えなきゃいけないの?

…と難しく感じた方もいるかもしれませんが、この中で透明水彩らしい魅力を最も感じやすい技法というと「にじみ」と「重ね塗り」

私も主にこの二つの技法を多用しています^^

にじみ技法は、英語ではWet on Wet(ウェット・オン・ウェット)と呼ばれます。

その名の通り、「濡れた紙の上に、さらに水で溶いた絵の具を置く」技法です。

当たり前のようですが、この特徴を使いこなすのがコツとも言えます。

やり方としては、

にじませたい部分を水で濡らす

水でといた絵の具を置くように塗る

紙が濡れているのでにじむ

さらに違う色を置くように塗る

絵の具同士が紙の上で混ざり合う

ポイントは

  • 筆で混ぜ合わせたり無理に広げたりしない
  • 水の力で自然ににじむのに任せる

例えば反対色の絵の具同士は、パレット上で色同士を混ぜ合わせると彩度が落ちたくすんだ色になります。

紙の上に置いた反対色の絵の具同士も、紙の上で筆で混ぜ合わせるとくすみます。

ですが、水の力で自然ににじんで混ざり合った色はくすまずに、クリアな色と色のグラデーションを見せてくれます。

不思議ですね^^

にじみ、というのは、他の絵の具では表せない透明水彩ならでは美しさを感じる技法なのです。

もちろん、彩度が落ちた色がダメなわけではなく、パレット上で絵の具を混ぜ合わせることで色を生み出すことができる「混色」はとっても大事です。
鮮やかな色だけではなくて、深みのある色、落ち着いた色…絵の具と絵の具を混ぜることによって色の世界が無数に広がります。

以前、特別養護老人ホームの絵画クラブの講師をしていた時のこと。

特養での絵画クラブは絵が好きな方だけが参加するわけではなく、リハビリの一環で時間がある人全員参加、だったので、「絵なんて70年ぶり」(小学生以来)といった方が大多数でした。

一番最初に伺った日、「何を描いてもらったらいいんだろう」と悩みに悩んだ末に、浮かんだのが「にじみを楽しんでもらうこと」

これだったら誰でもできるし、なんとなく色を乗せるだけでアートっぽい作品になるし、
きっと楽しんでもらえるはず!
と思ってのことでした。

でも実際に取り組んでもらったら…

「にじんじゃったわ!」
「どうしよう、色が混ざっちゃった!」

と、みなさん動揺してしまい、楽しんでいただくことができなかったのです…。

冒頭で書いたように、水彩絵の具には「透明水彩」と「不透明水彩」があり、私たちが小学校の時に慣れ親しんだ水彩絵の具の使い方は「不透明水彩」に近いもの。

小学校の時の水彩絵の具の使い方としては、鉛筆で輪郭線を下描きし、はみ出さないように絵の具を塗る、にじませたりはしない。
という感じでしたよね。

そのため、高齢者の皆さんは「絵の具はにじませてはいけないもの」と思われていたようです。

せっかく参加してくれた皆さんに楽しんでいただくことができず、めっちゃ凹みましたーー(T_T)

その後「にじみを使わない描き方」に内容を見直し楽しんでいただけるようになりましたが、自分の失敗談として今も記憶に残っています。

透明水彩は子どもの頃使った水彩絵の具とは違う絵の具なので、
「紙が濡れているとにじむ」
その不思議を楽しむ気持ちで描いていただけたらと思います。

もう一つ、にじみの難しさを感じる部分が、にじみというのは描き手が完全にコントロールできるものではない、ということです。

「水の力で自然ににじむのに任せる」

完全に自分の思い通りにしようとするのではなく、絵の具と水が生み出してくれる偶然に「委ねる」気持ちが大事なのかもしれません。

でも、だからこそ、時には自分で想定していなかったような未知なる美しさを見せてくれるものなのです^^

例えば、紙が濡れすぎていると色が広がって、濡らした部分と乾いた部分の境目に輪郭ができることがあります。

また、半乾きの紙に水分の多い絵の具や水を乗せると、独特の模様が生まれることがあります。

意図しないでできてしまったからと言って、必ずしも失敗とは言えません。

濡らした部分と乾いた部分の境目に輪郭線は「水彩境界」「エッジ」などと言います。
半乾きの状態で絵の具を乗せるとできる不思議な模様は「バックラン」と言う技法の一つでもあります。

↓赤い矢印の指す不思議な模様がバックラン

個人的には、「水彩境界」も「バックラン」も透明水彩らしい表現の一つで好きです^^

私は透明水彩のにじみのコツは、お水の妖精さんと仲良くなること、と生徒さんに話すのですが(笑
お水の妖精さんは気まぐれだけど、仲良くなると私たちの作品に素敵な魔法をかけてくれる強い味方です♪

お水の妖精さんの力を借りて、人の力で完全にコントロールできない美を楽しむのも「にじみ」の魅力なのです。

重ね塗りは、英語ではWet on Dry(ウェット・オン・ドライ)と呼ばれます。

先ほども書いたように紙と絵の具の関係は

重ね塗りは、「一度絵の具を塗って乾かした上に、さらに重ねていく」技法です。

透明水彩は透明性が高いため、重ねても下の色が透けて見えます。

例えば、
黄色の上に薄い青を重ねれば緑に見えます。

絵の具が乾いてから重ねることで、絵の具同士が混ざり合わずに、透明な色のフィルムを重ね合わせたような透明感のある美しい混色になるんですね。

下の色が乾ききっていない状態で重ねると、下の絵の具が溶け出して濁りやすくなるので、

  • しっかり乾かしてから色を重ねる
  • 何度も筆で擦ったりしない

というのがポイントになります。

重ね塗りをすると、「透明水彩って本当に透明なんだなぁ」と色の美しさに感動してしまいますよ^^

透明水彩にはさまざまな技法がありますが、その中でも「にじみ」と「重ね塗り」は、透明水彩らしい美しさを最も感じられる代表的な技法です。

透明水彩を使う上で、当たり前のようですが大きなポイントとなるのは

にじみ(Wet on Wet)は、紙が濡れている状態で描き、水と絵の具が自然に混ざり合うことで、柔らかく偶然性のある表現を生み出します。

一方、重ね塗り(Wet on Dry)は、紙が乾いた状態で色を重ねることで、透明感のある色の重なりを作り出す技法です。

一見すると対照的な技法ですが、どちらも透明水彩ならではの色の美しさを引き出してくれるという共通点があります。

何か具体的なものを描くのではなくても、

  • 紙を濡らしてにじみを楽しんでみる
  • 色を重ねて透明感の変化を味わってみる

それだけでも透明水彩の魅力を味わうことができます。

透明水彩は、水と絵の具、そして描く人との対話から生まれる画材です。

思い通りにならない瞬間さえも作品の魅力に変えてくれる、その不思議な美しさを、ぜひ楽しんでみてくださいね^^

水彩絵の具には透明水彩と不透明水彩があり、それぞれ特徴や表現方法が異なります。違いについて詳しく知りたい方は、「透明水彩絵の具と不透明水彩絵の具の違いとは?特徴・使い方・選ぶヒントを解説」もぜひご覧ください。

透明水彩では色の重なりや透明感を生かした表現が魅力です。色の仕組みをもっと知りたい方は、「有彩色と無彩色とは?色をもっと自由に使いこなすための基礎知識」も参考にしてみてください。

あなたがいつも、優しい光と美しいインスピレーションに包まれていますように✨

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