【幸せを紡ぐ物語】&【創作レッスン】

【創作レッスン】絵を立体的に描くコツは「遠くは小さく」〜初心者にもわかりやすい遠近法の基本

【創作レッスン】絵を立体的に描くコツは「遠くは小さく」〜初心者にもわかりやすい遠近法の基本

幸せを紡ぐ絵 画家・アート講師
松本圭です。

絵を見て
「なんだか立体的!」
「奥行きがあって本物みたい」
と感じる作品がありますよね。

その違いを生み出している大きな要素のひとつが「遠近法」です。

遠近法とは、平面の中に空間の深さや奥行きを表現する手法のことで、透視図法(線遠近法)、空気遠近法、色彩遠近法などいくつかの種類があります。

大昔の洞窟壁画などを見ると、現在のような遠近法を使った表現とは違い、平面的な描き方が多く見られます。

その後、長い年月を経て、ルネサンス期に線遠近法(透視図法)が体系化され、絵画はより立体的な空間を表現できるようになりました。

そうです、遠近法が生み出されたおかげで、私たちは立体的にものを描くことができるようになったのですね!

でも、遠近法というと
「難しそう…」
「よく分からない…」
という方も多いかもしれません。

確かに、「消失点とは」「一点透視図法とは」といった用語を聞くと難しく感じてしまうもの。

そこで今回は、いくつかの種類がある遠近法の中でも

大きさの変化によって奥行きを表現する考え方

ということに焦点を当てて、私が17年間絵画教室で子どもたちにも説明してきた方法をもとに、初心者の方にもわかりやすくご紹介します。

たり前のようで意外と気づかない「遠くは小さく見える」


実際に窓の外を眺めてみてください。


遠くの家や車、人は、本当は大きいのに小さく見えていますよね。
実際には人が住んでいる家も、遠くから見ると豆粒みたいに見えたり。


私たちは毎日その景色を見ていますが、「遠くにあるものは小さく見える」ということを意識する機会はあまりありません。

あまりに当たり前すぎて、改めてそのことを「認識していない」場合も多いのですね。

ものすごく遠くの場合はまだしも、室内で離れたところにあるもの、四角い紙の手前の幅と奥側の幅にも差があること、などの見え方について日頃意識することはないかもしれませんが、絵を立体的に描く時は、この「見え方」を紙の上で表現することが大切になります。

子どもたちにはこんな方法で説明していました

特に小さなお子さんは、
「遠くにあるものほど小さく見える」
という認識がまだ育っていないことがあります。

そこで絵画教室では、実際に窓の外を見てもらいながら
「向こうのお家は本当は大きいのに、小さく見えるよね。」
と話したり、

教室の中でも同じ大きさのものを近くと遠くに置いて、
「同じ大きさなのに、遠い方が小さく見えるね。」
ということを実際に見てもらっていました。

こうやって説明すると
「あんな小さいお家だったら私は入らないね!」
なんて新鮮に驚いてくれるのが子どもの可愛いところです^^

大人でも、この「当たり前の景色」を改めて意識して見るだけで、遠近法への理解がぐっと深まります。


大きさによって距離(奥行き)を描くことができる

子どもたちに遠近法を説明するときに、まず最初に説明するのは、1本の道の話し。

まっすぐの道を上から見るとずっと同じ幅のまっすぐな道です。

子どもが絵を描く時、奥行き関係なく同じ幅のまっすぐな道を描いたりします。

↓まっすぐの道を上から見たところ

この道に奥行きをつけて立体的に描く場合、画面の自分に近い側を大きく(幅を広く)、自分よりも遠くにあるものを小さく(幅を狭く)描くことで「遠くまで続く道」の距離を表すことができます。

↓まっすぐな道を奥行きをつけて描くと…

 

さらに、描くものの大きさに大小の差を付けることで距離を表現することができる、ということを子どもたちに説明するときに参考に描くのが、空を飛んでいる風船の絵です。

↓風船の大きさに大小をつけて描くことで、空に解き放たれだんだん遠くへ飛んでいくようすを表しています。

この絵を描いて見せるとだいたいの子は「わ~、ホントに飛んでいってるみたいに見える!」って驚きます^^

大人の方もぜひ試してみてください。

近くを大きく、遠くを小さく描くだけで、紙の上に奥行きが生まれることが実感できると思います。

遠くじゃなくて、すぐ近くにあるものにも距離(奥行き)を描くの?

長く続く道や空を飛んで行く風船は遠くまでの距離があるものなので、最初の説明としてわかりやすいですが、では、静物画などですぐ近くのものを描くときはどうでしょうか?

近くにあるものなど、たとえ短くても距離(奥行き)があるものなら、絵の中でそれを描くことで立体を表現することができます。

静物画を描くときに敷いてある布やテーブルなどの四角いものを例に考えるとわかりやすいです。

四角は真上から見ないと四角にならない

↓年少のお子さんがテーブルに置いてあるぬいぐるみを描くとき、ぬいぐるみは正面から描いているのに、布は四角に描く子が多いです。

「布は真上から見ないと四角にならないよね?」
と、まずは席を立って真上からモチーフを見てもらいます。

布が四角だったらクマも真上から見た図になるはず…

↓布の形が四角になるように真上から見るとこんな感じ

布が四角になる場合は、布の上においてあるモチーフはクマのぬいぐるみの頭頂部しか見えないはずですよね?

静物を描く時、机の上にあるモチーフを椅子に座って見ているとしたら、正面の斜め上くらいから見下ろす視点になると思います。

子どもたちが、ぬいぐるみは斜め上くらいからの視点で描いているのに、布やテーブルについては四角に描いてしまうのは「四角い!」って固定観念があるからからかな、と思います。

近くのものでも距離があれば遠近法を使う

絵画教室では子どもたちに
「距離が近いものでも距離がある限り、近くは大きく、遠くは小さくなる」
ということを説明し、実際にモチーフを見せて認識してもらっていました。

先ほどの一本道を描くときと同様に、画面の自分に近い側を大きく(幅を広く)、自分よりも遠くにあるものを小さく(幅を狭く)描くことで布の奥行きを表すことができます。

↓四角い布の上に置いてあるくまのぬいぐるみを、正面ななめ上くらいから見ると…

布の奥(距離がある方)を小さく(幅を狭く)描くことで立体的に見えますね!
すぐ近くにあるものは距離を感じづらいですが、最初に説明したまっすぐに続く1本の道と考え方は一緒です。

まとめ

遠近法とは、紙や画面などの平らな場所に、遠くのものと近くのものの距離感や立体感を表現する技法のことです。

「難しそう」と感じてしまうことが多い遠近法ですが、今回はシンプルに「遠くにあるものは小さく見える」ということに焦点を当ててご説明しました。

今回の説明をまとめると

  • 同じ大きさのものでも遠くにあると実物よりも小さく見える
  • 絵を描く場合も、手前を大きく描き遠くにあるものを小さく描くことで距離(奥行きを表すことができる)
  • 遠くの景色だけでなく、近くにあるものでも(短い距離でも)距離がある限り、近くと遠くの大きさの違いを描くことで立体的に描くことができる

ということになります。

線遠近法(透視図法)がルネサンス期に体系化されたのは「現実の空間や人間中心の世界を科学的・客観的にキャンバスへ再現したい」という強い目的からなのだそうです。

遠近法は私たちが毎日見ている景色を、そのまま紙の上に表現するための技法なのですね。

ルネサンス期の人々が体系化した遠近法を使うことで、私たちも絵という2次元の世界に、奥行きのある3次元の空間を表現することができる…
なんだかロマンを感じますね!

遠近法は、創作画を描く上でも、私たちの作品に奥行きや立体を与えてくれる力強い味方なのです^^

遠近法は立体的に表現するための技法です。
平面を立体として形作る考え方については、「平面の中に広がる世界〜創作に役立つデッサン的思考」で詳しくお話ししていますので、ぜひあわせてご覧ください。

また、遠近法で奥行きを意識することと同じくらい大切なのが、作品全体のバランスを見ることです。
描き進めるときのコツは、「絵を描くときは細部より全体を見る〜バランスよく描くための大切な視点」でご紹介しています。

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