幸せを紡ぐ物語

物語【夜の風に吹かれて】第3話

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私は明かりが灯った小さな家の窓から、こっそりと中を覗いた。
もしかしたら、この町の人たちを追い出したならず者たちの隠れ家かもしれない。
窓の隙間からは何やら良い匂いが漂っていた。

スープの匂いだろうか…と、思わず味を想像しようとしたところで、ギィっと錆びた金具の音を立ててドアが開いた。
とっさに逃げ出そうとする私を、穏やかな声が呼び止めた。
ドアの前には小柄な老人が立っていた。

「旅の人、どうぞ休んで行きなさい」

なぜこんなところに老人が一人で住んでいるのだろう?
やっぱりここは盗賊たちのねぐらで、スープの匂いをエサに、旅人から金銭を奪ってでもいるのだろうか?
「不審に思うのは当然だが、私の他には誰もいないよ。
空腹なのだろう?さあ、あがって休んで行きなさい」

どうせこのままでは空腹で死ぬのだ、と腹をくくって老人の家に招かれることにした。

…第4話へ続く
〈絵と文/松本圭〉

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