幸せを紡ぐ物語

物語【祝福】最終話

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僕を懸命に育てながら、父さんの心はいつも母さんへの愛でいっぱいだったのだ。
だけど、こんなにも母さんを恋しがり、さまざまな助けを求める手段に失敗し挫折しながらも、船でこの島を出るという選択はしなかった。
僕の命をを守るために。
僕が大きくなるまで、父さんが生きていてくれたなら、きっと2人で船を作ってこの島を出ただろうに。
今頃この島のどこかで父さんの肉体は朽ちているだろうけれど、魂はきっと母さんの元へ帰ったに違いない。

それから僕は船を造った。
船に積む雨水や食料を集め、保存ができるようにできるかぎりの工夫をした。
それから僕は木の葉や草の繊維で簡単な服を作った。
船がもし陸に着いたら、そこには僕以外の人間がいるはずだ。

僕は今日、旅立とう。
この海を越えて行こう。
愛とは何かを知るために。
父さんが母さんを愛したように、僕も愛する誰かと出会うために。

島の一番高い場所に立って、僕が育ったこの島、父さんが眠るこの島に別れを告げた。
太陽の輝きと海の音が、僕を祝福していた。

終わり
〈絵と文/松本圭〉

☆お読みいただきありがとうございました☆

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