幸せを紡ぐ物語

物語【夏の終わり】第3話

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約束をしていたわけではないけれど、私たちはたびたびの見える丘で会いました。
女の人は、外国の映画の話、私にはまだ難しい小説の話、ファッションやおしゃれの話、いろいろな話を聞かせてくれました。
時には何も話さずに海を眺めていることもありました。

私は対岸の街のことを何度か聞いたけど、女の人は静かに笑って答えませんでした。
女の人が笑うと不思議な色の石が連なったネックスレスが揺れ、太陽の光を反射してきらめきました。

女の人は時々、小さなバスケットに二人分の冷たい飲み物と私が見たことのないお菓子を持ってきてくれました。
大きな木の陰で二人で並んで海を見ながら、都会の味がするお菓子を食べるひとときは、私を大人になったような気にさせてくれました。

だんだんと海が見える丘へ行く楽しみは、対岸の町を眺めることではなくて、その人に会うことへ変わって行きました。

…最終話へ続く
〈絵と文/松本圭〉

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