【幸せを紡ぐ物語】

物語【喝采】最終話

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今夜も日付が変わる頃になると客たちが集まり、店の中は上品な賑わいに満ちあふれた。
グラスをかたむけながら語り合う紳士淑女、女性たちの軽やかな笑い声が店の空気を楽しげに揺らしている。
しばらくすると、店のオーナーが客たちに静粛を求め、1人の歌い手が舞台に現れた。

万雷の拍手の向こう、きらびやかなドレスの向こうの顔が見えることはない。
軽く膝を曲げて挨拶をすると、舞台の上の女は深い声で歌い始めた。

女は知っている。
この店の客たちが墓場で眠る亡霊だということを。
街のものたちが存在さえ知らないこの店で、自分が永遠に歌い続けなくてはならないことを。
「私は歌い続ける。けれど、私の魂は亡霊に奪われはしない。私の魂は歌の中にあるのだから」

喝采。
その輝きの影で、大きな悲しみとともに何かを失ったのかもしれない。
それでもなお、歌声とともに輝こうとする女を、天使たちは祝福することだろう。

終わり
〈絵と文/松本圭〉

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