幸せを紡ぐ物語

物語【in blue】最終話

20_in_blue

途切れない日常と非日常。
海の底の透明感と静けさの中で漂う人魚は、日常も非日常も知りません。
濁った海面から見るあの人は、なぜ恋人を失ってまで働くのでしょう。
涙も一時のドラマも、何もなかったかのように海はさざめいています。

次の日、人魚がまた高層ビル群を眺めていると、あの男性が出てきて海沿いの公園にやってきました。
いつものベンチに座る男性の手には赤いバラが一輪握られています。
「あの女の人と仲直りしたのね」
人魚はぼんやりと男性の姿を眺めていました。
すると…、男性はベンチから立ち上がり、海の間近まで歩いてくると海に向かって赤いバラを投げました。
人魚ははっとして、ざぶんと海に潜って泳ぐと、男性が投げたバラを拾いました。

人魚はしっかりとバラを握ると、片方の手で海の泡をすくい、ふうっと息を吹きかけました。
海の泡は風に乗って男性のところまで飛んで行き、ぱちんとはじけました。

潮の香りの風が優しく男性の唇を撫ぜました。

終わり
〈絵と文/松本圭〉

☆お読みいただきありがとうございました☆

・・・◆・・・◆・・・◆・・・


絵画作品「in blue」作品詳細はこちらからどうぞ!

関連記事

ページ上部へ戻る