幸せを紡ぐ物語

物語【日傘】第2話

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この数ヶ月の間、開いたことがないこの部屋の窓から見ると、向こうの竹林の緑の爽やかさと合間って、まるで暑い気配は感じられない。
でも、この日差しの強さからすれば、真夏の太陽は容赦ないはずだ。

この部屋からは、季節さえ忘れ去られている。

その日は朝から強い風雨が吹き荒れていた。
窓から見える通りの向こうの竹林は、風に揺れザワザワと音が聞こえるようだ。

その風雨の中、いつもの時間あの人が通り過ぎて行った。
強い風に傘をさすことを諦めたのか、土砂降りの雨に打たれたままだと言うのに、まるで雨も風も私の周りには吹いていません、とでも言うように、すうと背筋を伸ばしまっすぐに前を向いて歩いていく。

…最終話へ続く
〈絵と文/松本圭〉

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