幸せを紡ぐ物語

物語【ガーベラ】第2話

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私は花です。ガーベラです。
町の小さなお花屋さんに並んでいます。
私は今日、どなたのお家に飾られるのかしら。

土曜の午後、小学生くらいの男の子がお店にやってきて、ずいぶんと長い間考えたすえ、私を選んでくれました。
私を抱えて走る男の子のシャツからは汗の匂いがしました。
もしかして、初恋のお相手でもいるのかしら?

家に戻った男の子は、コップを三つだしてきて、一輪ずつ生けてくれました。
そして、狭いアパートの玄関に一輪、台所に一輪、食卓に一輪飾りました。

しばらくすると、お母さんが仕事から帰ってきました。
玄関で靴を脱ごうとしていたお母さんの目に入ったのは、一輪のガーベラ。
急いで夕飯の支度をしなくては、と台所へ行ったお母さんの目に入ったのは、また一輪のガーベラ。
そして、食卓には一輪のガーベラと電子レンジで温めたホットケーキが用意され、照れ臭そうな男の子が立っていました。

お母さん、お誕生日おめでとう。
私はあなたたちのために、明日の朝も可憐に咲きましょう。

…第3話へ続く
〈絵と文/松本圭〉

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