幸せを紡ぐ物語

物語【candle in the wind】第2話

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私の心は空っぽだ。
彼が私のもとを去ってから、世界は色を失った。
今までだって何度か恋をして来たはずだけど、彼は私にとって特別な人だった。

朝起きると涙が出た。
涙を流しながら朝食のトーストをコーヒーで流し込んだ。
満員電車の中で彼の影を探した。
仕事と言うのは案外ありがたいもので、仕事に集中している間だけは悲しみが薄らいだ。
昼休みになると私は、会社のビルの非常階段に出て1人泣いた。
昼休みが終わる5分前になると化粧を直して、何食わぬ顔で仕事に戻った。
夕方仕事が終わると、誰の誘いも受けないうちに会社を出た。

帰りの電車の中でつり革につかまりながら、涙がぽとぽととこぼれ落ちた。
私の前の席に座っていた人は、頭のおかしな女だと思っただろうか。
たしかに頭がおかしかったのかもしれない。
それくらい、彼を失った悲しみは計り知れなかった。
現在も未来も、彼との世界がすべてだった。

…第3話へ続く
〈絵と文/松本圭〉

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