幸せを紡ぐ物語

物語【ある光】第1話

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大きな駅を出てしばらくいくと薄暗い路地に出た。
都会のビル街のまばゆい灯りの影となり、まるで数十年前から取り残されたままのような小さな家々がならんでいる。
その路地をまっすぐに進んでいくと、いつものマンションに着く。
マンションといっても築数十年は経っているのだろう、いつリフォームしたのかもわからない建物の外観は薄汚れてツタに覆われていた。

僕は毎週土曜日の夜になると、このマンションの一室にやって来た。
いつもと同じ時間にドアのチャイムを鳴らすと、女の人が無言でドアを開けて、僕の顔を見てニコッと笑った。
彼女の部屋は甘いお香のような香りに満たされていた。
以前に何の香りか聞いた時に「白檀よ」と教えてもらった。

彼女はこの部屋で「光」を売っている。
正確に言うと彼女が紡ぎだす光に癒されるために、僕は金を払っている。

…第2話へ続く
〈絵と文/松本圭〉

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