【幸せを紡ぐ物語】

物語【赤い花】最終話

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背の高い若者は、そっと腰を屈めて娘の前に赤い花を差し出しました。
「あなたが悲しみの中にいるとき、必ず助けにきます。もしも空から赤い花びらが舞ったら、私があなたを見守っているときです」
若者は娘に赤い花を手渡すと、その花びらを一枚ぷつりと抜いて口にくわえました。
すると、若者は青く輝く美しい鱗を持った龍になり、風の音とともに空へ昇って行きました。

空へ昇った龍の姿は、日の光に鱗をきらきらと輝かせながら小さくなり、やがて見えなくなりました。
娘は赤い花を大切そうに懐へしまうと、薪を拾いに山道を歩きはじめました。

終わり
〈絵と文/松本圭〉

☆お読みいただきありがとうございました☆

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