幸せを紡ぐ物語

  1. 物語【羽ばたく】第2話

    ある時、疲れきり、悲しみに暮れた白い鳥は島のはずれの岸壁にやってきました。岸壁から覗くと、遥か下のほうで波が岩に当たっては砕け、白い泡が渦巻いていました。

  2. 物語【ガーベラ】第2話

    私は花です。ガーベラです。町の小さなお花屋さんに並んでいます。私は今日、どなたのお家に飾られるのかしら。土曜の午後、小学生くらいの男の子がお店にやってきて、ずいぶんと長い間考えたすえ、私を選んでくれました。私を抱えて走る男の子のシャツからは汗の匂いがしました。

  3. 物語【ハナキリン】第1話

    昔々あるところに、大きな森がありました。大きな森のその奥に、刺に覆われたハナキリンで守られた、小さなお城がありました。お城には一人のお姫様が、一人の年老いた召使いとともに暮らしていました。お姫様は朝目覚めると、お城の窓を開け外の空気を吸いました。

  4. 物語【羽ばたく】第1話

    ある離れ小島に、1羽の鳥が住んでいました。その鳥は、真っ白な大きな羽根を持っていましたが、空を飛ぶことができません。同じ頃に卵からかえった兄弟達が飛ぶことを覚えた頃、白い鳥も毎日毎日一生懸命練習しましたけれど、他の鳥たちのように自由に空を飛べるようにはなりませんでした。

  5. 物語【ガーベラ】第1話

    私は花です。ガーベラです。町の小さなお花屋さんに並んでいます。私は今日、どなたのお家に飾られるのかしら。夕方、白髪まじりの紳士がお店の前で足を止め、私を選んでくれました。私を抱える紳士のグレーのスーツからは、一日中働いた人の匂いがしました。

  6. 物語【睡蓮】最終話

    「睡蓮の花というのは、昼に咲きはじめ、日の入りには眠るように閉じてしまうそうですね」若者は池の睡蓮をじっと見つめました。「そうです。この池の花ももうしばらくすると閉じてしまいます。

  7. 物語【遠くへ行きたい】最終話

    ご主人様は浮き輪をつけて、果敢に波に飛び込みました。そして、海水と砂にまみれては、押し流されて波打ち際に転がっているのでした。

  8. 物語【赤い花】最終話

    背の高い若者は、そっと腰を屈めて娘の前に赤い花を差し出しました。「あなたが悲しみの中にいるとき、必ず助けにきます。もしも空から赤い花びらが舞ったら、私があなたを見守っているときです」若者は娘に赤い花を手渡すと、その花びらを一枚ぷつりと抜いて口にくわえました。

  9. 物語【睡蓮】第4話

    1年前、夢破れて故郷を離れてから、誰かのために力を尽くすなどと言うことがあっただろうか…。思えば今日まで、ただひたすらに自分のためだけの道のりだったと、若者は歩きながら旅路に思いを巡らせていました。小さな睡蓮の池を出てから、ちょうど丸一日たった午後、歩き続けた若者は西の森へつきました。

  10. 物語【遠くへ行きたい】第3話

    ある暑い日、ご主人様は水着を着て海へ向かいました。もちろん私もお供しました。いつか遠くの国へ行こう、そう心に決めたご主人様は、泳いで海を渡るつもりか、水泳の練習を始めることにしたのです。カナヅチの小さな女の子が海で泳ぐだなんて、正気の沙汰ではありません。

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