幸せを紡ぐ物語

  1. 物語【見知らぬ雨】第3話

    春。女の子は咲き誇る花とともに歩きました。夏。太陽の力強い日差しを浴びると、歩き続ける勇気がみなぎりました。秋。色づいた木の葉たちは、季節が巡ることを告げてくれました。そして冬。女の子は降りしきる雪の中、静かに歩き続けました。

  2. 物語【日傘】最終話

    閉じ切ったままの窓に顔を寄せ、吹き荒れる雨風の中を悠然と歩いていくあの人の姿を見つめた。一瞬強い風が吹き、竹林がざわっと揺れ、笹の葉が舞い散った。あの人はよろめき立ち止まったけれど、額に張り付いた笹の葉をさっと払いのけると、何事もなかったかのように歩き去って行った。

  3. 物語【夜の風に吹かれて】第1話

    星が輝く夜空の下、ピューピューと風が吹いていた。この町は人っ子一人見当たらず、どうやらゴーストタウンのようだ。立ち並ぶ家や店に明かりはなく、澄んだ空の星明かりだけがあたりを照らしていた。半分壊れかけた建物の間を、ゴミや枯れた草が風に吹かれて、生き物のように飛んで行った。

  4. 物語【見知らぬ雨】第2話

    女の子の鞄には小さな花の種が入っています。お母さんが大切に大切に育てていた花の種です。女の子は旅に疲れると足を止め、鞄から種が入った小さな包みを取り出し見つめました。女の子は歩き続けました。街を過ぎ、山を越え、谷をわたり…。

  5. 物語【日傘】第2話

    この数ヶ月の間、開いたことがないこの部屋の窓から見ると、向こうの竹林の緑の爽やかさと合間って、まるで暑い気配は感じられない。でも、この日差しの強さからすれば、真夏の太陽は容赦ないはずだ。この部屋からは、季節さえ忘れ去られている。その日は朝から強い風雨が吹き荒れていた。

  6. 物語【night piece】最終話

    「私の飼い主は一人で暮らしていた時だって、とても幸せそうだったよ。自分を愛して慈しんでいたからね」「その人は…1年前に亡くなったの?」「いや、元気だよ」猫がニヤリと笑いました。「1年前に王子様が現れて、一人暮らしではなくなったのさ。

  7. 物語【見知らぬ雨】第1話

    ある街を、女の子が1人歩いていました。足もとの石畳は雨に濡れ、通りを行く人々は足早に家路を急いでいます。女の子にとっては初めて訪れる街。まるで降りしきる雨さえも、見知らぬ他人の顔をしているようです。女の子は身の回りのものが入った鞄を背負い直すと、冷えた手に息を吹きかけました。

  8. 物語【日傘】第1話

    いつもの時間、もう数ヶ月も閉じたままの窓から、外を覗く。小さな裏庭の低い垣根の向こうを、あの人が通り過ぎて行く。彼女の背景を彩る、通りを挟んだ竹林の竹のように、いつでもすうっと背筋を伸ばしまっすぐに前を向いて歩いていく。こちらに目を向けることはない。

  9. 物語【night piece】第5話

    「彼女にだって長い人生の中では色々なことがあっただろう。だけど、家を花で飾り、いつでもきちんとおしゃれして、お気に入りのカフェでお茶を飲み、1人で夕食を食べる時もきれいに盛りつけて、豪華じゃないけど自分のために美味しいディナーを用意して。

  10. 物語【キャンディ】最終話

    大人になった私には、たくさんの友達ができました。おばあちゃんは相変わらずおしゃれで、近所の人に頼まれては細々したものを縫い、ささやかな生活を楽しんでいます。私はお給料が出ると、美味しいお茶とおばあちゃんの大好きなお菓子を買って、おばあちゃんの部屋を訪ねました。

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