幸せを紡ぐ物語

  1. 物語【in blue】第1話

    濁った都会の海の、深い深い底。その深さが汚れを消し去った後には限り無いブルー。この都会の海の底に、人魚が住んでいました。人魚は、今日も海面に浮かび人間たちのドラマを垣間みています。立ち並ぶ高層ビル、水面に写る深夜でも消えないビルの明かり、時間を忘れて働くビジネスマン。

  2. 物語【風の匂い】第2話

    「君は誰なの?」と男の子が言うと、女の子は答えずにニコッと笑いました。女の子が笑うと小さく風が吹いて、海の匂いがしました。男の子は、夏休みにお父さんが連れて行ってくれた海水浴を思い出しました。

  3. 物語【ある光】最終話

    「君の光を失った人たちはみんな、人生のチャンスを得たんだ。光を求めながら、自分で暗闇の道を選んで歩いていてはダメだって、気がつくはずだよ。誰かに照らしてもらわなくても、自分で光の道を選んでいくべきなんだ。」彼女はびっくりしたように目を丸くして、僕を見つめた。「うん、そうだね。

  4. 物語【喝采】最終話

    今夜も日付が変わる頃になると客たちが集まり、店の中は上品な賑わいに満ちあふれた。グラスをかたむけながら語り合う紳士淑女、女性たちの軽やかな笑い声が店の空気を楽しげに揺らしている。しばらくすると、店のオーナーが客たちに静粛を求め、1人の歌い手が舞台に現れた。

  5. 物語【風の匂い】第1話

    夕暮れ近く、学校帰りの男の子が1人、野原でぶらぶら道草をしています。遠くの街から引っ越しをしてきた男の子は、夏休み明けから新しい学校に通いだし、ちょっとずつ友だちも増えてきました。けれど、学校の帰り道、早くも吹き始めた秋風を感じると、ちょっと寂しい気持ちになります。

  6. 物語【ある光】第6話

    「いないんですか?入るよ」といって、部屋に入ると、ベットの上にぼんやりと座り込んだ彼女がいた。「あ、ごめん。チャイムの音、気がつかなかった」そういって僕を見上げた彼女の左の頬は腫れて、赤くなっていた。「どうしたの?誰に殴られたの?」「うん。昨日のお客さん。

  7. 物語【喝采】第3話

    そんなある日、もう日が暮れた頃、空き地で1人歌う女に声をかけるものがいた。声をかけてきたのはクラシックなスーツに身を包んだ上品な紳士で、この近くにある高級クラブのオーナーだと自己紹介をした。紳士は女の歌を賞賛し、自分の店の歌手として舞台に立たないか、と誘ってきたのだ。

  8. 物語【朝の仕事】最終話

    私は歯を食いしばって両足に目一杯の力を込めて走りました。ちょっと前を走る相手をわずかに抜き去ると、私はアンカーにバトンを手渡しました。閉会式が終わり、荷物を持って校門を出るとお父さんが待っていました。「ごめんな。仕事がなかなか終わらなくて。

  9. 物語【ある光】第5話

    夏が近づいたある日、長患いをしていた祖父が亡くなったと故郷の母から連絡があった。その週末は毎週かかさず通っていた彼女の部屋に行かずに、故郷への電車に乗った。ここ数年、盆も正月も帰らずにいた故郷へ向かうのは気が重かったけれど、子どもの頃よく可愛がってくれた祖父の葬式には出たかった。

  10. 物語【喝采】第2話

    女が歌手を夢見てこの街へやってきたのは5年前。けれど、一人田舎からでてきて誰も知るものもいない女が歌手として成功するなど、一筋縄でいくわけがない。女は昼間は街のレストランでウェイトレスとして働きながら、夜になるとチャンスをつかもうといろいろな店を回った。

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