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物語【cross road】第1話
私の宇宙船がこの星に不時着して半年が経ちました。右も左も分からなかった私は、親切な地球人のおばさんに助けられ、なんとか暮らしています。昼間は工場で働いて、自分の生活費を稼ぐようにもなりました。私の故郷の星にいるお父さんお母さん、どんなにか心配していることでしょう。
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物語【candle in the wind】最終話
「さあ、今から僕はこの世界でやるべき仕事をすることにするよ。君の心にもう一度恋の炎を灯そう。」そういってその人は小さなキャンドルを出して、火をつけた。「君はまた恋をするだろう。
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物語【candle in the wind】第5話
「苦しいかい?」「はい、苦しいです。私にとっては彼への思いは永遠だった…」永遠の愛のはずだった。そう思いたいのだろう。「忘れられるのでしょうか」「忘れなくてもいいんだよ。時の流れというのは優しいものだ。いつか彼との思い出も、穏やかな気持ちで思い出せる時がくる。
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物語【candle in the wind】第4話
私はその晩夢を見た。このところ、決まって明け方に泣きながら目を覚ましていたけれど、見た夢は覚えていなかった。だけど、その晩の夢は鮮明に心に残るものだった。私は荒れ果てた荒野のような、見渡す限りの灰色の世界で冷たい風に吹かれていた。感じるのはただ孤独だけ。
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物語【candle in the wind】第3話
僕はその女の心の中に入り込んでいた。そうか、この女は恋人と別れたのだな。たかが恋をなくしただけ、というわけではないのだろう。この女の無垢なる魂は金色の輝きを放っていると言うのに、心の中の情熱の火はすっかり消えてしまったようだ。人間の感情と言うのはやっかいなものだ。
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物語【風の匂い】最終話
夕方ケンタの家まで謝りに行ったお母さんと男の子に、ケンタは「気にするな!」といい、ケンタのお母さんは「わざとじゃないんだから」と笑ってくれたのです。その帰り道、「ケンタくんは本当に良い友だちね」というお母さんに「親友なんだよ!」と答えました。男らしいケンタが自慢でした。
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物語【candle in the wind】第2話
私の心は空っぽだ。彼が私のもとを去ってから、世界は色を失った。今までだって何度か恋をして来たはずだけど、彼は私にとって特別な人だった。朝起きると涙が出た。涙を流しながら朝食のトーストをコーヒーで流し込んだ。満員電車の中で彼の影を探した。
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物語【風の匂い】第3話
男の子は、今年の夏のお祭りのことを思い出しました。いつもは大人が一緒じゃなきゃ行っちゃ行けないんだけど、今年は初めてケンタと「二人だけで行っていいよ」とお母さんが言ってくれたのです。ケンタと二人、ドキドキしながら人ごみを歩きました。
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物語【candle in the wind】第1話
この世界は何もなかった。正確に言うと、灰色の雲と砂と風だけがあった。吹き荒れる風の音は、悲しみと孤独の音楽を奏でていた。ここがこの女の世界なんだ。そして今、僕はここにいる。人間界に降り立った僕は、人ごみにまぎれていた。
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物語【風の匂い】第2話
「君は誰なの?」と男の子が言うと、女の子は答えずにニコッと笑いました。女の子が笑うと小さく風が吹いて、海の匂いがしました。男の子は、夏休みにお父さんが連れて行ってくれた海水浴を思い出しました。
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